日本人にとって醤油は身近な発酵調味料のひとつですね。皆さんはどの醤油をご家庭で使用されていますか?私は濃口醤油を使っています。実家では濃口と薄口醤油を使い分けていました。地域によっても醤油は特色があります。住んでいる地域の食文化によって影響があるようです。今回は醤油の歴史・地域性・栄養効果についてお話していきます。

醤油の歴史

 弥生時代、食材を塩漬けにする醤油の原型「醤ひしお」が誕生します。肉醤・魚醤・草醤・穀醤です。醤油のルーツは中国(醤ジャン)が日本で発展し醤油になります。室町時代には「しやうゆ」が登場します。江戸時代に、本格的な醸造が始まります。関西地方で淡口醤油が製造されその後、政治の中心が江戸に移ると千葉の野田・銚子で醤油蔵が次々創業します。江戸の食文化として、寿司・蕎麦つゆ・蒲焼のタレなど醤油需要が高まりした。江戸ではインフラ整備従事者・労働者が多く、濃い味付けを好み濃口醤油に発展します。明治時代には明治政府が醤油は生活必需品として目をつけ「醤油税」を設け、大正時代まで続きました。第二次世界大戦中は食料難に伴い主原料の大豆が確保できず、醸造製法の醤油は僅かな量しか製造できなくなったため、アミノ酸液に甘味料やカラメル色素などの化学調味料を加えただけの、醸造しない醤油が市場に出回っていました。戦後、醤油の原料となる大豆が入手困難になり、GHQが大豆を酸で加水分解した方が効率良く製造できると指導。これに対し、キッコーマンの技術者が半化学・半醸造する新しい製造方法でアミノ酸を使って製造できる方法を開発しました。1950年食糧事情の回復進展し、再び質の向上を目指した本醸造醤油造りが復活しました。

醤油の種類

 濃口醤油:特徴:香り高くまろやか。主な生産地は千葉県の野田・銚子・兵庫県の高砂・香 川県の小豆島。全国の醤油消費量の8割を占める。原材料は大豆と小麦同量程度。

 淡口醤油:特徴:色も香りも抑えめ。主な生産地は関西。関西から全国へと広がる。全国の消費量の1割を占める。原材料は大豆と小麦同量程度。

 たまり醤油:特徴:濃厚。主な生産地は愛知県・三重県・岐阜県。原材料は大豆。

 再仕込み醤油:特徴:味・色・香りともに濃厚。主な生産地は山陰地方、九州の一部での特産醤油。原材料は大豆と小麦同量程度。

 白醤油:特徴:旨味やコクは控えめ。主な生産地は三河地方。生産量は全体の1%程度。原材料は大豆が5%、小麦が95%程度。

醤油の製造工程

 醤油は大豆と小麦、食塩から作られます。蒸した大豆と炒って砕いた小麦に麹菌を加えて、醤油麹と呼ばれる麹を作ります。醤油麹に塩水を加えもろみを作り、発酵・熟成させて絞ったものが醤油になります。麹菌が、大豆と小麦のタンパク質をアミノ酸に、デンプンを糖に分解。大豆のタンパク質は、グルタミン酸のど約20種類ものアミノ酸やペプチド類を、小麦からはブドウ糖や麦芽糖などを作ります。もろみになると、自然界の乳酸菌が糖を分解し、乳酸などの酸を生みます。さらに酵母が残りの糖を分解し香り成分を作ります。

ここが知りたい 醤油の効能

 醤油の効能のは、抗酸化作用・虚弱体質の改善・鉄分不足を補う・冷え性の改善・血圧抑制作用が期待されます。醤油は色が濃いほど、強い抗酸化作用を持っています。この黒い色の原因は、熟成と、その後の微生物の働きを止める「火入れ」の過程でできる色素成分「メラノイジン」。メラノイジンは、老化を進める活性酸素を取り除く抗酸化作用を持っています。香ばしい香りにも優れた抗酸化作用があり、ダブルのアンチエイジング効果が期待されます。メラノイジンは味噌作りの過程でも生まれる褐色色素ですが、脂質の酸化を防ぐため、動脈硬化予防やコレステロール値を抑制し、血糖値を正常に保つ作用も期待できます。食物繊維にも似た作用もあり便秘改善にも有効。生活習慣病予防に役立ちますね。

醤油で鉄分の吸収アップ

 皆さんは鉄分不足になっていませんか?特に女性は生理があるのでより鉄分不足が考えれますよね。ひじきやレバーを食べるとき、醤油で味付けをすると身体への吸収率が高まるそうです。大豆由来の醤油多糖類「SPS」には、鉄分の吸収率を高める作用があります。

醤油の調理効果

 醤油は下ごしらえやメインの味付けや風味付けなどに使用されているのではないでしょうか。醤油を使用することによる効果をお話していきます。まずは消臭効果。醤油に含まれる有機酸は魚の生臭さを消す効果があります。香り成分にも食材の臭みを覆い隠す効果があります。刺し身に醤油をつけて食べるのは、味付けのためではなく、魚の生臭さを消す目的もあると考えれています。次に加熱効果。加熱により食欲をそそる良い香りが生まれ、こんがりとした焼き色がつく。照り焼きや蒲焼のいい香りは醤油に含まれるアミノ酸と砂糖や味醂に含まれる糖分が加熱によりアミノカルボニル反応を起こすことで生まれます。醤油に含まれる塩分、有機酸には、大腸菌などの繁殖を止めたり、死滅させたりする殺菌効果があります。醤油のグルタミン酸と鰹節のイノシン酸を組み合わせると、うま味が何倍にも増して感じられる。これをうま味の相乗効果といいます。毎日、食事に使っている醤油も様々、お気に入りの醤油を探してみるのも楽しいですよ。

投稿者

marizo

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)